大手総合建設・不動産開発会社である米Gilbane社は、世界中に45を超えるオフィスを構え、Saks Fifth Avenue、Deutsche Bank、CVS、AstraZeneca、SAP、Reebok、Goodyear、Wells Fargo、Hilton、Crate & Barrel、ExxonMobil、the Cleveland Clinic、ボストンのFenway Parkなどの一流クライアントにサービスを提供しています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延で、多数の企業がリモートワークでの生産性向上方法の模索を強いられるなか、同社は時代を先取りしていました。2016年以来、Matterport, Inc.の空間データソリューションの熱心なユーザーとして、すでに建築現場でのデジタルツインの使用を標準化しており、設計/建設プロセスを加速して大成功を収めていたのです。
「非常に運が良かったと思います。Matterportのようなツールを使用した革新的かつ創造的なプランニングのおかげで、当社ビジネスは過去2年間、減速しませんでした。大変大きなメリットを受けています」と、Gilbaneの中西部戦略プロジェクトディレクターを務めるJoel Vande Boom氏は述べます。「パンデミックを契機として、効率化方法に目が向くようになり、人、場所や物の管理方法が抜本的に変わりつつあります。Matterportの技術を基盤に強化されたデジタルワークスペースの価値は、ようやく表面化し始めたばかりです」
現地視察や検査など、多くの地方自治体の機能がコロナ禍の影響を受けましたが、同社はプロジェクトを前進させ続けることができました。「デジタルツインを採用して将来に備えていたため、市の検査官が実際に現場を訪問できなかった際にも、いくつかの検査はバーチャルで完了できました」とVande Boom氏は語ります。「現在では検査官が現場を訪問して視察する方式に戻っていますが、なおデジタルツインが役立つ場面があります。例えば、壁や天井の後方の確認が必要な場合はデジタルツインを使って出口経路などの重要な現場条件を評価し、ウェブ会議でスピーディに対処できます」
Matterportでビジネスを構築
6年前、Vande Boom氏は、担当顧客の1つである1,000以上の支店を持つ米大手銀行に最初のデジタルツインを提供しました。
Gilbaneでは、工事完了時に引き渡す予定の同行本社ビルのフロアをキャプチャしました。同行チームは没入型のデジタルレプリカに非常に感銘を受けました。オフィススペースをバーチャルで歩き回って改装の成果を確認し、関係者に披露することができたためです。こうした最初のポジティブな体験を受け、デジタルツインのキャプチャは日常的なサービスとなり、同行とGilbaneの追加プロジェクトの推進役となりました。
それ以来、Gilbaneは同行と8年間にわたりリテール銀行支店の改装に取り組んでおり、約500の支店のデジタルツインをキャプチャしています。同社はコロナ禍でも、Matterportの技術により工事を順調に進めることができ、外部設計代理店、請負業者、ベンダーとのリモートコラボレーションも合理化しています。
「4時間のオンライン会議1回だけで、Matterportを使用して21支店を設計して、検討しました。現地訪問した場合は1日かかるため、21日分、すなわち168時間の労働時間を節約したことになります」とVande Boom氏は述べています。
高精度なデジタルツインをキャプチャ
同氏は教育、ヘルスケア、小売業を中心に商業・オフィススペースを所有する20社以上の顧客のプロジェクトを常時400件以上統括しています。Gilbaneでは、Matterport, Inc.のPro2 3Dカメラを使用して、高解像度のデジタルツインをキャプチャし、新プロジェクトの開始時だけでなく、顧客への引き渡し前に進捗状況と最終ステータスを把握する目的でも活用しています。Vande Boom氏のチームは、Matterport Pro2 3Dカメラを多数保持し、必要に応じて現場で活用しています。
「Matterport Pro2 カメラは、特にベースラインで非常に正確で有用な3Dスキャンを提供します」と同氏。
設計と建設には信頼性が不可欠ですが、Matterport Pro2カメラは安心して使用できます。高精度のデジタルツインならバーチャルで設計の意思決定が下せることを、プロセス全体を通じて体験してきたためです」
同チームでは、モバイル版Matterportアプリ、iPhone 13、iPad Proもキャプチャに活用しています。小型のモバイルデバイスカメラは、狭いスペースで特に威力を発揮しますが、Vande Boom氏はより広い面積の断面図や継続的なデジタルツインのアップデートでもモバイルキャプチャを好んで利用しています。
Gilbaneのチームは、何年も前に構築された1970年代スタイルのデザインを文書化する作業を開始する前に、各銀行支店でPro2を使ってデジタルツインをキャプチャしています。解体後にもう一度キャプチャを行い、機械や配管など、壁内の要素を視覚的に記録しています。現況把握はすべてのプロジェクトで共通の課題となるため、こうした記録はスペースの経緯を伝えるのに役立ちます。
「Matterportデジタルツインの信頼性の高い視覚情報を通じて、顧客と同じ情報にアクセスし、物件の状態を一緒に確認することができます。こうすることで、明らかとなった課題にどのように対処するか、重要な会話をすることが容易になります」とVande Boom氏は述べています。
「基礎構造の完了後の状態を文書化しておくと、壁が閉じられる前に主要関係者が壁内部の状態を最終チェックできるため、こうした文書化は非常に重要です」とVande Boom氏は指摘します。「将来的には、一連のパイロットホールを作ったり、天井のタイルに多数の穴を開けたりしなくても、Matterportのデジタル履歴を参照すれば、HVACダクトと電気導管がどこにあり、どこにつながっているかを特定できるようになります」
進歩を加速する高度な機能
Matterportの測定モードツールを使用すると、チームはその場で寸法を再確認し、スクリーンショットを撮ってドキュメントを補強できます。「測定ツールは大変役に立っています。障害を持つアメリカ人法(ADA)に基づくアクセシビリティ改善プロジェクトで規制遵守のために机やカウンタートップの高さをチェックしなければならない場合などに不可欠な役割を果たしています」とVande Boom氏は高く評価します。
Gilbaneのチームでは、Matterport Notesツールも活用してコラボレーションを合理化しています。「Notesのチャット機能は素晴らしく、アカウントコミュニケーションツールとして活用しています。チームはデジタルツイン内でやり取りしながら、さまざまな設計上の特徴やアイデアについて話し合うことができるため、より優れたソリューションをより迅速に考案する上で役立ちます」とVande Boom氏は述べます。
チームメンバーはMatterPak バンドルを使用して、色付きの点群や3Dメッシュファイルをダウンロードし、設計プロセスに役立てています。同社はまた、家具レイアウトをデジタルツインに統合してプランニングを加速させる実験も行っています。
コラボレーションと説明責任を支援
「特に複数の現場にまたがるプログラムの場合、Matterportの技術は大きなメリットをもたらします。デジタルツインと現場を簡単に切り替えて、複数の場所に影響する大きな問題の側面を調べることができ、その結果、チームメンバーは1回の短い電話で一緒に質問を解決できます」とVande Boom氏は言います。「Matterportは、設計と構築の段階で説明責任を果たすのに本当に役立っており、時間とコストを約25~30%節約できています」
Gilbaneでは、プロジェクトの最後にも最終スキャンをキャプチャしています。「このスキャンをパンチリストとして活用しています。例えば引き渡し時に壁にくぼみがあったかどうかなど、顧客とのコミュニケーションに役立ちます。客先とプロジェクトを完了させるのに役立つ信頼できる唯一の情報源の役割をデジタルツインが果たしています」(Vande Boom氏)。
同社チームはMattertagsを使用して、建物とその設備の構造上の主な特徴を、施設メンテナンスのために有用な情報と手順にリンクさせながら詳しく記録しています。この記録は、デジタルツインで強化された運用・メンテナンス(O&M)マニュアルに組み込まれ、顧客に引き渡されます。オハイオ州コロンバスを本拠とする州立自動車保険会社もそうした顧客の一例となりました。Gilbaneでは、プロジェクトで使用される材料が建築家、エンジニアや不動産所有者の意図と一致することを示す公式文書である基礎構造に関する提出物でもこのアプローチを採用しています。
GilbaneではProcoreプロジェクト管理ソフトウェアを標準化しており、スタッフがMatterport Showcase Procore統合を使用してドキュメントや提出書類を確認しながらProcoreアプリケーション内からデジタルツインに簡単にアクセスできるようにしています。Matterportのデジタルツインは通常、1回限りのアクションとして各Procoreプロジェクトに追加されます。その後、Procoreプロジェクトのすべての共同編集者がデジタルツインをシームレスに閲覧でき、複数のウィンドウ間の切り替えが不要になります。
高い評判を長年維持
Gilbaneは、成長維持のために最新世代のテクノロジーを受け入れることで150年にわたり築いてきた卓越した企業という評判を誇りにしています。同社は、継続的なプロセス改善能力を新たな成功の牽引要素と位置付けており、Matterportの技術で、300のサイトへの出張やサイト訪問を排除し、プロジェクトのチーム作業を1,000時間以上の節約を実現しています。
「Matterportは、お客様にとって不可欠なパートナーとなるための革新的なテクノロジーを提供してくれます」と同氏。「当社のどのプロジェクトでも、時間は非常に大切です。デジタルツインの導入でコラボレーションと効率性を強化することで、最終的にリピート顧客を生む優れたサービスの提供が可能になっています」
©2022 Matterport、Inc. All rights reserved. MatterportはMatterport, Inc.の登録商標であり、MatterportロゴはMatterport, Inc.の商標です。その他のすべてのマークはそれぞれの所有者に帰属します。
GILBANE社について
米ロードアイランド州プロビデンスに本社を構える非公開の家族経営企業Gilbane社は、業界最大手クラスの建設・不動産開発会社です。1870年に家族経営の大工事業として設立されて以降、米国やその他の国で50以上のオフィスを構え、数十億平方フィートのプロジェクトを完工させています。
本社
米国ロードアイランド州プロビデンス
業種
建築、建設エンジニアリング、建設
課題
不動産の現状に関するコミュニケーションを改善し、建設プロジェクトを合理化
製品
Matterport Pro2 3Dカメラ
解決策
建設プロジェクトの設計/構築段階の主要フェーズでMatterportデジタルツインをキャプチャし、迅速なリモートコラボレーションと意思決定を促進
https://matterport.com/ja/industries/case-studies-20